現在表示しているのは、次のバージョン向けのドキュメントです。Kubernetesバージョン: v1.30
Kubernetes v1.30 のドキュメントは積極的にメンテナンスされていません。現在表示されているバージョンはスナップショットです。最新のドキュメントはこちらです: 最新バージョン
例: Persistent Volumeを使用したWordpressとMySQLをデプロイする
このチュートリアルでは、WordPressのサイトとMySQLデータベースをMinikubeを使ってデプロイする方法を紹介します。2つのアプリケーションとも、データを保存するためにPersistentVolumeとPersistentVolumeClaimを使用します。
PersistentVolume(PV)とは、管理者が手動でプロビジョニングを行うか、StorageClassを使ってKubernetesによって動的にプロビジョニングされた、クラスター内のストレージの一部です。PersistentVolumeClaim(PVC)は、PVによって満たすことができる、ユーザーによるストレージへのリクエストのことです。PersistentVolumeとPersistentVolumeClaimは、Podのライフサイクルからは独立していて、Podの再起動、Podの再スケジューリング、さらにはPodの削除が行われたとしても、その中のデータは削除されずに残ります。
警告:
シングルインスタンスのWordPressとMySQLのPodを使用しているため、ここで行うデプロイは本番のユースケースには適しません。WordPressを本番環境にデプロイするときは、WordPress Helm Chartを使用することを検討してください。備考:
このチュートリアルで提供されるファイルは、GAとなっているDeployment APIを使用しているため、Kubernetesバージョン1.9以降のためのものになっています。もしこのチュートリアルを古いバージョンのKubernetesで使いたい場合は、APIのバージョンを適切にアップデートするか、このチュートリアルの古いバージョンを参照してください。目標
- PersistentVolumeClaimとPersistentVolumeを作成する
- 以下を含む
kustomization.yaml
を作成する- Secret generator
- MySQLリソースの設定
- WordPressリソースの設定
- kustomizationディレクトリを
kubectl apply -k ./
で適用する - クリーンアップする
始める前に
Kubernetesクラスターが必要、かつそのクラスターと通信するためにkubectlコマンドラインツールが設定されている必要があります。 このチュートリアルは、コントロールプレーンのホストとして動作していない少なくとも2つのノードを持つクラスターで実行することをおすすめします。 まだクラスターがない場合、minikubeを使って作成するか、 以下のいずれかのKubernetesプレイグラウンドも使用できます:
バージョンを確認するには次のコマンドを実行してください:kubectl version
.
このページで示された例は、kubectl
1.14以降で動作します。
以下の設定ファイルをダウンロードします。
PersistentVolumeClaimとPersistentVolumeを作成する
MySQLとWordpressはそれぞれ、データを保存するためのPersistentVolumeを必要とします。各PersistentVolumeClaimはデプロイの段階で作成されます。
多くのクラスター環境では、デフォルトのStorageClassがインストールされています。StorageClassがPersistentVolumeClaim中で指定されていなかった場合、クラスターのデフォルトのStorageClassが代わりに使われます。
PersistentVolumeClaimが作成されるとき、StorageClassの設定に基づいてPersistentVolumeが動的にプロビジョニングされます。
警告:
ローカルのクラスターでは、デフォルトのStorageClassにはhostPath
プロビジョナーが使われます。hostPath
ボリュームは開発およびテストにのみ適しています。hostPath
ボリュームでは、データはPodがスケジュールされたノード上の/tmp
内に保存されます。そのため、もしPodが死んだり、クラスター上の他のノードにスケジュールされたり、ノードが再起動すると、データは失われます。備考:
hostPath
プロビジョナーを使用する必要があるクラスターを立ち上げたい場合は、--enable-hostpath-provisioner
フラグを controller-manager
コンポーネントで設定する必要があります。備考:
Google Kubernetes Engine上で動作するKubernetesクラスターを使っている場合は、このガイドに従ってください。kustomization.yamlを作成する
Secret generatorを追加する
Secretとは、パスワードやキーのような機密性の高いデータ片を保存するためのオブジェクトです。バージョン1.14からは、kubectl
がkustomizationファイルを使用したKubernetesオブジェクトの管理をサポートしています。kustomization.yaml
内のgeneratorによってSecretを作成することができます。
以下のコマンドを実行して、kustomization.yaml
の中にSecret generatorを追加します。YOUR_PASSWORD
の部分を使いたいパスワードに置換してください。
cat <<EOF >./kustomization.yaml
secretGenerator:
- name: mysql-pass
literals:
- password=YOUR_PASSWORD
EOF
MySQLとWordPressのためのリソースの設定を追加する
以下のマニフェストには、シングルインスタンスのMySQLのDeploymentが書かれています。MySQLコンテナはPersistentVolumeを/var/lib/mysql
にマウントします。MYSQL_ROOT_PASSWORD
環境変数には、Secretから得られたデータベースのパスワードが設定されます。
apiVersion: v1
kind: Service
metadata:
name: wordpress-mysql
labels:
app: wordpress
spec:
ports:
- port: 3306
selector:
app: wordpress
tier: mysql
clusterIP: None
---
apiVersion: v1
kind: PersistentVolumeClaim
metadata:
name: mysql-pv-claim
labels:
app: wordpress
spec:
accessModes:
- ReadWriteOnce
resources:
requests:
storage: 20Gi
---
apiVersion: apps/v1 # for versions before 1.9.0 use apps/v1beta2
kind: Deployment
metadata:
name: wordpress-mysql
labels:
app: wordpress
spec:
selector:
matchLabels:
app: wordpress
tier: mysql
strategy:
type: Recreate
template:
metadata:
labels:
app: wordpress
tier: mysql
spec:
containers:
- image: mysql:5.6
name: mysql
env:
- name: MYSQL_ROOT_PASSWORD
valueFrom:
secretKeyRef:
name: mysql-pass
key: password
ports:
- containerPort: 3306
name: mysql
volumeMounts:
- name: mysql-persistent-storage
mountPath: /var/lib/mysql
volumes:
- name: mysql-persistent-storage
persistentVolumeClaim:
claimName: mysql-pv-claim
以下のマニフェストには、シングルインスタンスのWordPressのDeploymentが書かれています。WordPressコンテナはPersistentVolumeをウェブサイトのデータファイルのために/var/www/html
にマウントします。WORDPRESS_DB_HOST
環境変数に上で定義したMySQLのServiceの名前を設定すると、WordPressはServiceによってデータベースにアクセスします。WORDPRESS_DB_PASSWORD
環境変数には、kustomizeが生成したSecretから得たデータベースのパスワードが設定されます。
apiVersion: v1
kind: Service
metadata:
name: wordpress
labels:
app: wordpress
spec:
ports:
- port: 80
selector:
app: wordpress
tier: frontend
type: LoadBalancer
---
apiVersion: v1
kind: PersistentVolumeClaim
metadata:
name: wp-pv-claim
labels:
app: wordpress
spec:
accessModes:
- ReadWriteOnce
resources:
requests:
storage: 20Gi
---
apiVersion: apps/v1 # for versions before 1.9.0 use apps/v1beta2
kind: Deployment
metadata:
name: wordpress
labels:
app: wordpress
spec:
selector:
matchLabels:
app: wordpress
tier: frontend
strategy:
type: Recreate
template:
metadata:
labels:
app: wordpress
tier: frontend
spec:
containers:
- image: wordpress:4.8-apache
name: wordpress
env:
- name: WORDPRESS_DB_HOST
value: wordpress-mysql
- name: WORDPRESS_DB_PASSWORD
valueFrom:
secretKeyRef:
name: mysql-pass
key: password
ports:
- containerPort: 80
name: wordpress
volumeMounts:
- name: wordpress-persistent-storage
mountPath: /var/www/html
volumes:
- name: wordpress-persistent-storage
persistentVolumeClaim:
claimName: wp-pv-claim
-
MySQLのDeploymentの設定ファイルをダウンロードします。
curl -LO https://k8s.io/examples/application/wordpress/mysql-deployment.yaml
-
WordPressの設定ファイルをダウンロードします。
curl -LO https://k8s.io/examples/application/wordpress/wordpress-deployment.yaml
-
これらを
kustomization.yaml
ファイルに追加します。
cat <<EOF >>./kustomization.yaml
resources:
- mysql-deployment.yaml
- wordpress-deployment.yaml
EOF
適用と確認
kustomization.yaml
には、WordPressのサイトとMySQLデータベースのためのすべてのリソースが含まれています。次のコマンドでこのディレクトリを適用できます。
kubectl apply -k ./
これで、すべてのオブジェクトが存在していることを確認できます。
-
次のコマンドを実行して、Secretが存在していることを確認します。
kubectl get secrets
結果は次のようになるはずです。
NAME TYPE DATA AGE mysql-pass-c57bb4t7mf Opaque 1 9s
-
次のコマンドを実行して、PersistentVolumeが動的にプロビジョニングされていることを確認します。
kubectl get pvc
備考:
PVがプロビジョニングされてバインドされるまでに、最大で数分かかる場合があります。
結果は次のようになるはずです。
NAME STATUS VOLUME CAPACITY ACCESS MODES STORAGECLASS AGE mysql-pv-claim Bound pvc-8cbd7b2e-4044-11e9-b2bb-42010a800002 20Gi RWO standard 77s wp-pv-claim Bound pvc-8cd0df54-4044-11e9-b2bb-42010a800002 20Gi RWO standard 77s
-
次のコマンドを実行して、Podが実行中であることを確認します。
kubectl get pods
備考:
PodのStatusが`Running`の状態になる前に、最大で数分かかる場合があります。
結果は次のようになるはずです。
NAME READY STATUS RESTARTS AGE wordpress-mysql-1894417608-x5dzt 1/1 Running 0 40s
-
次のコマンドを実行して、Serviceが実行中であることを確認します。
kubectl get services wordpress
結果は次のようになるはずです。
NAME TYPE CLUSTER-IP EXTERNAL-IP PORT(S) AGE wordpress LoadBalancer 10.0.0.89 <pending> 80:32406/TCP 4m
備考:
MinikubeではServiceを`NodePort`経由でしか公開できません。EXTERNAL-IPは常にpendingのままになります。
-
次のコマンドを実行して、WordPress ServiceのIPアドレスを取得します。
minikube service wordpress --url
結果は次のようになるはずです。
http://1.2.3.4:32406
-
IPアドレスをコピーして、ブラウザーで読み込み、サイトを表示しましょう。
WordPressによりセットアップされた次のスクリーンショットのようなページが表示されるはずです。
警告:
WordPressのインストールをこのページのまま放置してはいけません。もしほかのユーザーがこのページを見つけた場合、その人はインスタンス上にウェブサイトをセットアップして、悪意のあるコンテンツの配信に利用できてしまいます。ユーザー名とパスワードを決めてWordPressをインストールするか、このインスタンスを削除してください。
クリーンアップ
-
次のコマンドを実行して、Secret、Deployment、Service、およびPersistentVolumeClaimを削除します。
kubectl delete -k ./
次の項目
- イントロスペクションとデバッグについてさらに学ぶ
- Jobについてさらに学ぶ
- Portフォワーディングについてさらに学ぶ
- コンテナへのシェルを取得する方法について学ぶ